何か案件が舞い込んできたとき、デザインの方向性を決めるはデザイナーによって様々。僕も若い頃、デザインを始めた頃は感性のままに何となしでデザインをやっていました。 しかしこのやり方だと、制作している途中でデザインの方向性が知らず知らず変わったり、この方向性で合っているのか疑問を持ちながらデザインを進めることがありました。またアイディアが中々出ず段々疲弊してしまうことも。。
そんな失敗から、その後色々本を読み漁ったりして、現在自分はこんな感じでデザインをしていることをご紹介しまして、いつもデザインをどう構築して良いか迷ってしまう、特に若いデザイナーさんに参考にしてもらえたらと思います。
Contents
まず私たちが制作する物の意味を理解する
今まで僕は、Webサイトだけでなく、ロゴ、名刺、チラシ、パンフレット、ポスターなど色々な制作をしてきました。
これらは一言で言うといったい何でしょうか? この質問を若手のデザイナーにすると答えられる人はほぼいないのです。僕も若い頃は答えられなかったと思います。(笑)
これらは一言で言うと『営業ツール』に属するものだと考えています。Webやパンフなどの制作物で、クライアント企業のブランドイメージを周りに伝え利益をもたらす。それが私たちデザイナーの役目であり、それによって社会貢献する仕事なのです。
この根底にあることが理解できていないとデザイナーを続けていくのは難しいかなと思います。それは考え方が甘っちょろいと言うことではなく、ただカッコいい、奇抜、面白いだけでデザインを考えていくと、アイディアが枯渇し疲弊していってしまうからです。(過去の僕もそうでした。。。)
ターゲットを考え、どうしたらこの人達は興味を持っていただきコンバージョンに持って行けるのか。営業職の方はそれをトークを用いて行い、デザイナーはビジュアルと文章で行うだけの違いで、根底にある考え方は営業もデザイナーも同じではないかと僕は思っています。
デザインの構成要素と効果を理解する
デザインの構成要素とは何でしょうか? 僕は主に「色」「レイアウト」「フォント」「素材(画像・動画/イラスト)」のこの4つだと考えます。クライアントへの提案で色だけでデザインの方向性を決めていく方がいらっしゃるのですが、僕はそれだけで方向性を決めるのは危険だと思います。下記の4つの構成要素があってこそのデザインです。それではそれぞれの要素の持つ意味を理解しておきましょう。
色と色数
デザインをしている方なら「色」がもたらす影響はご存知かと思いますので、ここはさらっと紹介する程度にします。ここでプラス、使用する色数によって印象が変わってくることを紹介したいと思います。例えば、色数が少ないほどシンプルで落ち着いた印象を与え「洗練さ」や「高級」なイメージに、系統の異なる色(赤系・青系・緑系・紫系など)数が多いと当然賑やかになり「楽しさ」や「親近感」「庶民的」なイメージを与えます。
レイアウト 間隔の広さ
ここで言う「レイアウト」とは主に、スペース・間隔のことになります。簡単に言えば、各コンテンツのスペースが狭いレイアウトだと「庶民的(安価)・手頃感」な印象で、逆にスペースが広いレイアウトだと「高級(高価)・洗練」な印象を与えると考えます。これはあくまでも僕の持論です。スーパーの折込みチラシなどスペースが狭いレイアウトのものが多く、高級車などのサイトやパンフレットなどはゆったりレイアウトを組んでいるものが多いかと思います。レイアウト間隔が狭くなるほど安価に、広くなるほど高価な印象を与える傾向があると考えます。
フォント
フォントは大きく分け「ゴシック体」「明朝体」「丸ゴシック体」「手書き書体」になると考えます。与える印象は下記の図になります。この書体以外にも細かく分けると色々ありますが、フォントの構成要素はこの4つと考えた場合、他のフォントも当てはめることができると思います。例えば習字の筆描いたような「楷書体」は、「明朝体」と「手書き書体」の要素を併せ持った書体になるので、「上品」で「親近感」の印象を与えるフォントになり、またモリサワの「フォーク」の書体は「ゴシック体」と「明朝体」の要素があるので、「信頼・安定」と「気品」が感じられるフォントということになり、この4つのフォントの構成要素を抑えていれば、ある程度フォントについてはカバーはできると考えています。
素材(画像・動画・イラスト/アイコン)
ここがビジュアルとしてパッと目に入ってくるところになるので、何か制作物を創るうえで大きな要素になってくるのかなと思います。
画像・動画はその商材のコンセプトやイメージが伝わりやすい効果があります。例えば、下図の左の「ALPHARD」は、高級志向のワゴン車であることが一目でわかり、逆に同じワゴン車でも右の「VOXY」は、家族でどこかに遊びに行く庶民的なコンセプトカーであることがわかります。商品とモデル(人)を一緒にすることで、どこをターゲットにした商材なのか明確に伝えることができるのと、その商品を自分が購入した後の良いイメージを連想させる効果があると考えます。
イラストやアイコンなどはテイストにもよりますが、親近感や柔らかいイメージを与える要素になってくるのかなと思います。作り込んだイラストになれば、そこに「洗練さ」も感じられるようになります。またこれも意見は様々ですが、ターゲット層を広げられる効果もあると思っています。例えば、20代女性の画像を使えばターゲットがそこだと限定されますが、柔らかいテイストの20代女性のイラストを載せた場合、ターゲット範囲がぼかされるので層が広がる場合があると考えています。
以上がデザインを構成する要素と考えています。
上記の要素と効果を考慮しデザインを考える
ざっと4つのデザインの要素と効果を説明させていただきました。デザインはこの4つの要素を上手く組み合わせながら構築していく感じになります。実際に制作する企業や商材のブランドイメージは「高級」か「安価」、「高貴」か「庶民的」の両極端ではなく、その中間的なものがいくつも存在します。
例えばブランドイメージが、「洗練され信頼できて、それでいて親しみやすいイメージを与えたい」と言ったものもよくあります。上記の説明の後だと矛盾していて、どう構築して良いかわからなくなるかと思いますが、4つの要素と効果を理解していれば問題なくできます。いくつかデザイン構築例を紹介します。
【構築案A】
- 「色」:配色を少なめ
- 「レイアウト」:少しスペース広め
- 「フォント」:ゴシック体
- 「素材」:画像そしてアイコン/イラストをアクセントとしてポイントで使う
まず「色」を少なめにし、スペースをあまり大きくせず少し広めにとることで「洗練かつ少し庶民的」イメージに。フォントをゴシック体を使用することで「信頼」のイメージに。素材でイラスト/アイコンをアクセントとしてポイント使うことで「親しみやすい」イメージも醸し出す感じになります。 同時に下記のやり方も考えられます。
【構築案B】
- 「色」:配色を少し多め
- 「レイアウト」:スペース少し広め
- 「フォント」:ゴシック体
- 「素材」:画像
Bに関しては、Aと異なりイラスト/アイコンを使用せず、配色を少し多めにすることで「親しみやすさ」の印象を与えるようにしました。これで同じブランドイメージを表現していることになります。
色々なWebサイトを見て考察してみよう
上記で述べた4つのデザイン要素を踏まえて、色々なWebサイトを見てみて、その企業や商材のブランドイメージやデザインコンセプトを考察してみてください。高級感なのか庶民的なのか?親近感?高貴なイメージ? それともその中間?
ただデザインを見るのではなく、上記を踏まえて考察してみると色々見えてくることがあるかと思います。
次回はこの考察方法から、「分析からのデザイン方向性の構築 【デザインの組み立て方②】」をお話していきます。
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ABOUT THE WRITER
拓殖大学外国語学部英米語学科を卒業後、お金を貯めてデジタルハリウッド系列の学校でロサンゼルスにあるdhimaに留学。そこで初めてクリエイティブに触れ衝撃を覚える。帰国後、制作の仕事に就きたいと考え、独学でデザインを勉強。29歳からグラフィックデザインの会社に勤務し、その後様々な制作会社で経験を積み、現在に至る。
拓殖大学外国語学部英米語学科を卒業後、お金を貯めてデジタルハリウッド系列の学校でロサンゼルスにあるdhimaに留学。そこで初めてクリエイティブに触れ衝撃を覚える。帰国後、制作の仕事に就きたいと考え、独学でデザインを勉強。29歳からグラフィックデザインの会社に勤務し、その後様々な制作会社で経験を積み、現在に至る。
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